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言葉のセクハラ法廷バトル 下ネタ全開部長の仰天主張「職場明るく…」

2016/12/10

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「俺の女になったら給料を上げてやる」「エッチしよー」。

男性管理職から社内や無料通信アプリLINE(ライン)で9カ月にわたってセクハラを受け続けた女性社員は、勤務先の会社と管理職に慰謝料など計約770万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こした。

会社側が和解に応じる一方、管理職側は徹底抗戦。だが、主張はことごとく退けられ、9月に約57万円の支払いを命じられた。

判決は、セクハラの大半が身体への接触ではなく言葉によるものだった点を考慮して賠償額を抑えたが、セクハラ訴訟の賠償額は高額化する傾向にあり、企業が1千万円超の和解額を支払った事例もある。

管理職からは「職場の雰囲気を明るくするためだった」との〝トンデモ釈明〟も飛び出したが、もはや冗談では済まされないのが現実だ。

フラれた腹いせに「あほ!」「だぼ!」

原告の女性は20代後半。平成26年8月、某会社に新入社員として入社し、九州支店に配属された。妻子を神戸に残して単身赴任していた部長からセクハラを受けるようになったのは、そのわずか2週間後だった。

判決などによると、9月8日、女性のLINEに「付き合って」「女として好き」とメッセージが届いたのが最初。その後もしつこく交際を迫られ、「夜景見に行こう」などとデートに誘われ続けた。

女性は10月22日、LINEで「好きな人がいます」と恋愛感情がないことを伝えたが、部長は「ばか!」「あほ!」「だぼ!」「ばか!」と連続返信。

セクハラは以降、地位利用とも受け取れる内容にエスカレートしていった。

11月に入ると、女性を自宅に連れ込み、「俺の女になったら役職とかつけて給料上げてやる」と宣言。

そのうち業務時間中は「ほぼ下ネタしか話さない状態」(原告側準備書面)となり、「胸触らせろ、お尻触らせろ」「夜の生活はどうやねん」「脱がすぞ」「エッチしよー」とあからさまな発言を繰り返した。

コーヒーを淹れた女性に「お前これ、どっからミルク出した」と聞き、両手で自身の胸をもむしぐさをすることすらあった。

27年4月には、職場で2人きりになったタイミングで、「俺の女になるなら、役員がお前を切れって言ってるけど、最後まで守るから」「俺が飯誘って一度でも行ったことあるか。俺にもっと甘えろ」と迫った。

6月には「お前がかわいいからそばに置いておきたい」という理由で、隣の席への席替えを強いられたという。

「職場を明るく…」仰天主張

追い詰められた女性は、交際相手に退職の相談をしながら出勤を続けたが、6月30日以降、会社の取締役に被害を直訴して休職。

しかし、会社側が事実関係をきちんと調査せず、社長が部長に口頭注意する対応にとどまったことに失望し、8月に提訴に踏み切った。

会社側は当初、争う姿勢を示したが、今年4月に100万円を支払う内容で女性と和解。男女雇用機会均等法は企業にセクハラを防止する措置義務を課しており、職場の環境整備を怠った義務違反を認めたとみられる。

これに対し、部長側は代理人弁護士を選任し、準備書面などでセクハラの意図はなかったと反論した。

部長は準備書面で、職場での性的発言や原告を自宅に呼んだことを事実と認めた上で、「職場の雰囲気を明るくするための冗談で、原告だけを対象にしたわけではない」と主張。

「原告は性的な冗談にも嫌そうな素振りを見せず、むしろ盛り上がっていた」とにわかには信じがたい言い分も繰り広げた。

また、個別の発言や行為についても細かく弁解し、

「『エッチしよー』とは言ったかもしれないが、明らかに冗談と分かる状況だった」

「『ご飯を作りに来て』という発言は女性従業員全員にしていた」

「『どっからミルクを出したのか』というような話を冗談でしたこともあったのかもしれないが、記憶にない」

などとした。

「原告にセクハラを主張されることには違和感がある」とまで言及した陳述書も提出したが、代理人が7月に辞任した後は新たな代理人を選任せず、裁判の期日にも出廷しなかった。

「言葉のセクハラ」重視し慰謝料減額

迎えた9月の神戸地裁判決は、部長側の主張をほぼ一蹴し、女性側の勝訴を言い渡した。

判決は、女性側が証拠提出した部長からのLINEのメッセージや、女性が交際相手に送ったメールの内容から、女性のセクハラ被害の主張がおおむね信用できると指摘。

「原告だけに性的冗談を言っていたわけではない」とした部長の弁明を不法行為の成立を否定する事情にならないと断じ、女性に対して執拗(しつよう)なセクハラ・パワハラがあったと認定した。

一方、慰謝料についてはキスをされたり体を触られたりするような身体的被害がなく、大半が言葉によるセクハラだった点を重視。

「個別に見れば権利侵害の程度がさほど大きくない言葉が多い」として女性が求めた600万円から50万円に大幅に減額し、弁護士費用などと合わせた約57万円の支払いを部長に命じ、確定した。

セクハラ訴訟に詳しい山田秀雄弁護士(第二東京弁護士会)は判決について、「言葉のセクハラは軽く、身体接触型のセクハラは重いという日本の一般的な認識が反映された判決ではないか」と指摘。

大阪市港区の水族館「海遊館」が男性管理職2人に対し、女性従業員へのセクハラ発言を理由に出勤停止とした処分を妥当とした昨年2月の最高裁判決を引き合いに、「言葉によるセクハラにも厳しい姿勢で臨むべきという方向性が示されていただけに、原告女性の損害回復が十分でない印象を受ける」と疑問視した。

1300万円支払いで和解ケースも

山田弁護士によると、日本におけるセクハラの賠償額は100万~300万円の範囲が最も多く、米国のように億単位の賠償が命じられたケースはない。

近年は社会のセクハラへの認識が厳しくなったことから1千万円を超える賠償額も珍しくなくなったが、あくまで慰謝料ではなく、休職や転職に伴う逸失利益の算定で高額化しているのが現状という。

大阪地裁では26年11月、かつら製造・販売大手「アデランス」の男性店長のセクハラで心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、退職を余儀なくされたとして、元従業員の女性が同社に計約2700万円の損害賠償を求めた訴訟で和解が成立。

解決金が1300万円という高額で、同社が加害者である男性店長に半額の負担を求めた内容が注目された。

このケースでは女性に身体的被害があった上、セクハラが労災認定され、会社側が女性の休職期間の一部で給与の支払いを停止していた事情などが影響したとみられている。

山田弁護士は「米国の訴訟にあるような億単位の賠償額は行き過ぎとしても、日本の訴訟の賠償額は女性がこうむる精神的苦痛を考慮すれば低すぎる。

マタハラやモラハラといった新たなハラスメントが社会的に認知され、あらゆる嫌がらせの救済の窓口が広がりつつあることは評価できるが、賠償額の妥当性については再考が必要だ」としている。

[via:http://www.sankei.com/west/news/161118/wst1611180004-n1.html]

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