米マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏（５７）と妻のメリンダさん（４８）が創設した世界最大の慈善基金団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」が、次世代コンドーム開発者に、最大で１００万ドル（約９４００万円）の資金を援助すると２６日までに発表した。世界に蔓延（まんえん）するエイズウイルス（ＨＩＶ）感染防止へ、新素材のコンドーム開発を促進する。

　ソフトウエアでも、ハイテク機器でもない。ゲイツ氏が、次世代のコンドーム開発を呼び掛けた。約６００億ドル（約５兆６０００億円）の資産を持つ財団が、創業資金を援助すると発表した。

　財団によると、対象になるのは「性的興奮を保持、もしくは高めて、安価で日常的に簡易に使用できる」コンドームの開発。開発した人物には１０万ドル（約９４０万円）を援助するほか、実用化可能な場合には、１００万ドルを出資する用意があるという。

　コンドームの場合は、莫大（ばくだい）な費用がかかる医薬品とは異なり「大規模な臨床試験は必要なく、比較的安価に開発、製造できると認識している。宣伝、流通網も整っている」と財団は指摘。「新たな素材を使用した、新しいコンセプトデザインのコンドームが誕生すれば、すぐに試作品を作ってテストしたい」と期待を表した。

　ゲイツ氏による次世代コンドーム開発の狙いは、ＨＩＶ感染予防にある。コンドームは感染防止の効果的手段とされているが、性的興奮が損なわれてしまうなどの理由から、使用したがらないカップルも多いという。結果として「ＨＩＶ感染という受け入れがたい代償に結びつく」と財団は話した。

　国連合同エイズ計画によると、２０１１年の世界のＨＩＶ感染者は約３４００万人で、約１７０万人が死亡した。米国国立アレルギー感染症研究所所長のアンソニー・フォーチ博士は、「そのうちの約半数が自身の感染に気付いていない。性的興奮を損なうことのないコンドームが開発されれば、感染防止の大きなステップになる」と話した。

　紀元前３０００年ごろから、実に５０００年の歴史を有するコンドーム。ゲイツ氏の尽力で、革命的な製品が誕生するかもしれない。

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http://www.sanspo.com/geino/news/20130327/sot13032705020001-n1.html