自動車事故の際にドライバーの生死を分けるのは、事故自体のひどさだけではない。ドライバーが肥満かどうかという点も生死を分ける重要な要因になるという。
米カリフォルニア大学バークレー校が行った研究によると、肥満のドライバーは健康的なドライバーよりも衝突事故における死亡リスクが高いことが判明した。BMI指数が40を越える極度の肥満ドライバーは、健康的なドライバーよりも死亡するリスクがなんと80パーセントも高いそうだ。
研究チームは今回の研究を実施するにあたって、6806名のドライバーと3403件の衝突事故の情報を集め、分析した。調査対象者のうち18パーセントが肥満、33パーセントが過体重、46パーセントが健康的な体重だった。
「肥満」と分類されたのはBMI指数が30以上の人だ。体重を身長の二乗で割った数値であるBMI指数は肥満度を測る上で基準となることが多い。この指数が35以上であると「かなりの肥満」、45以上は「超肥満」とみなされれる。
今回の分析の結果、BMI指数が40以上という極度な肥満のドライバーは、健康的なドライバーよりも事故で死亡する確率が80パーセントも高いという結果に。BMI指数が低くなるほど、死亡リスクも低くなるという結果になったが、それでもBMI指数が35以上40未満のドライバーは51パーセント、30以上35未満のドライバーは21パーセント、死亡リスクが高いという結果になった。
この大きな差は一体どこから生じるのか? 肥満のドライバーの死亡リスクが高くなる理由については「柔らかい体内組織のせいで、骨盤周りのシートベルトの締まりがにぶくなるため、前方に身体が投げ出されてしまう」と研究者は説明している。
通常、車のデザインは平均的な体格のドライバーにフィットするように設計されているが、肥満ドライバーの死亡リスクが高いという今回の研究結果は、自動車の設計にも将来影響を与えることになるかもしれない。
だが、肥満のドライバーに設計を合わせたら、今度は痩せているドライバーに対するデメリットが増えかねないというジレンマも生じる。むしろ今回の研究結果によって肥満の恐ろしさに対する認識が高まることを期待したいところだ。
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