菓子の賞味期限を改ざんして販売したとして、長野県警生活環境課と岡谷署は２４日、岡谷市川岸東の菓子卸販売会社「天龍堂」と同社の花岡俊博社長宅、元営業部長宅の計３か所を食品衛生法（表示基準）違反容疑で捜索した。

県警は不正競争防止法違反容疑でも調べる。県は３日、同社への立ち入り調査をしており、県によると、改ざんは、元営業部長がパート従業員に指示し、昨年１１月頃から、繰り返されていたという。

県警によると、同社は３月下旬頃、賞味期限切れのため県内の取引先店舗から回収した菓子の賞味期限表示を数か月延長し、再度、同じ店舗に販売した疑いがもたれている。本社には午前９時前、約１０人の捜査員が捜索に入り、書類や帳簿などを押収し、午後４時過ぎに捜索を終了した。

県食品・生活衛生課によると、同社は昨年１１月頃から、菓子メーカーのせんべいやかりんとうなど４１商品について、賞味期限の表示を有機溶剤で消し、油性インクのついたゴム印で、１か月～１年延長した賞味期限を印字していた。

取引先が３月下旬、賞味期限の印字が不自然なことに気付いて同社に指摘。同社と取引先は４月３日に県諏訪保健所に改ざんを届け出て、同保健所が同日中に立ち入り調査を行った。

花岡社長は１月頃、パート従業員からすでに改ざんの報告を受けていたことを認め、「赤字決算が続き、経営が圧迫されたことが最大の原因」と改ざんの理由を説明したという。元営業部長は２月に退職した。

同社は、賞味期限を改ざんした４１商品について、３月３０日から自主回収を行っている。これら商品は、同社取引先の諏訪郡内の１１店舗で販売されたが、回収されたものはなく、県は「消費された可能性が高い」とみている。

商品に含まれる油脂成分の酸化で健康に影響が出る可能性もあるが、今のところ健康被害の報告はないという。

県食品・生活衛生課は「他業者の商品の賞味期限を勝手に改ざんするのは悪質」としている。

[読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130425-OYT1T00396.htm