ロシア警察当局はこのほど、同国中央部のスヴェルドロフスク州エカテリンブルク近くの村で、仏高級ブランド「シャネル」の女性用靴の模造品を生産していた闇工場を摘発し、働いていた中国人１１０人を拘束した。中国・環球時報が伝えた。

ロシアのウェブサイト「ライフニュース」の２１日付の報道によれば、現地警察は多くの警察官を動員してこの工場に捜査に入り、中国人１１０人が働いていることを発見。作業員らは特殊なマスクを着用し、４カ所の作業場で交代しながら２４時間体制で偽ブランド品を生産していた。工場内の空気は悪く、化学薬品のにおいが鼻を突く状況だったという。

中国人の労働者らは食事も住まいも工場内で、工場の周辺は高さ３メートルの塀に囲まれていた。警備員が労働者一人一人の行動に目を光らせ、工場の周りには監視カメラが設置されていたという。工場を取りまとめるのは中国人ではなく、ロシア在住のアルメニア人だった。

警察は今回、１足約２万５０００ルーブル（約８万２０００円）の偽ブランドの靴、３６５０足以上を押収した。労働者１人当たりの月給はわずか１万ルーブル（約３万３０００円）だった。スヴェルドロフスク州検察庁は、この工場に衛生基準と技術安全に違反する問題が多くあると指摘。労働者が皮膚病になりやすい環境だとした。税務当局などもこの工場の責任者を取り調べている。警察は「不法な商標使用」などの疑いで経営者を送検する方針だ。

ロシア政府の機関紙も２１日、この事件について報じた。この工場は生産開始から５年が経っており、地元住民や地方政府関係者らは合法的な企業だと思っていたという。地元政府は、この工場で働いていた中国人労働者がゴム製の靴を製造する合法な就労者だと見ていた。ある地元住民は、中国人労働者らの暮らしは質素な様子で、ほとんど外出していなかったと話す。外部の人の工場への無断立ち入りは禁じられていた。

これらの偽ブランド品がどの程度の被害をもたらしていたかは分かっていない。シャネルでは、数千万ルーブルの被害になると試算した。この工場で製造された偽ブランドの靴は、高値でロシアの大型デパートで販売されていた。

[毎日中国経済]
http://www.xinhua.jp/socioeconomy/economy/346080/