15日オーストラリア沖で沈没しかけていたインドネシアの漁船から、乗組員20人を静岡県焼津市のマグロ漁船が救出しました。
船長が当時の様子を語りました。
船尾は水没し、十数人の乗組員が取り残されています。
この危機的な状況から全員を無事救出したのは、焼津市の遠洋マグロ漁船「第15福積丸」でした。
焼津港から出港しオーストラリア沖でマグロ漁をしていた福積丸。
14日朝、日本の海上保安庁から福積丸の社長の元へ、漂流しているインドネシア漁船の救助要請がありました。
漂流漁船がいたのはパース沖、約1200キロ。
オーストラリア海軍の船が救助に向かっていましたが、第15福積丸は漂流現場まで約320キロの位置にいました。
救助の様子を、現在もオーストラリア沖で操業中の山崎清船長がテレビ静岡にメールで語ってくれました。
第15福積丸・山崎船長
「救助依頼をされ、漁具をとにかく早く回収して現場に船を向けました。しけていたし、時間もたっていたから、どうかなと思っていました」
しけた海をすすみ現場付近に到着すると救命いかだを発見します。しかし・・・
山崎船長「船を着けたら誰も乗っておらず、だめかと思いました」
しかし船長はあきらめず、情報を元にさらに西を捜索。とうとう漂流船を発見します。
沈没寸前の漁船
山崎船長「ここにいたかという感じでした。船首に残っている船員にいかだを引っ張るよう指示しましたが、波、風と体力がないのか引っ張れません。今度は本船からとっていたロープが切れ、いかだが船と漂流物の間に入り、いかだをつかむのに苦労しました」
助けを求める乗組員たちの姿
激しい風の中、最後の1人をデッキへ・・・
山崎船長「これで全員ですか?」
インドネシア船船長「20人全員です」
懸命な救助により乗組員20人全員の救助に成功しました。
山崎船長「救助後も温かいものを食べさせたり、お風呂に入れたりし。本船船員もよくやってくれました。よくもまああのしけの中、耐えていてくれていたと思います」
漁船は救助後間もなくインド洋に沈んだ
オーストラリア大手メディアのABCは、オーストラリア海上安全局のコメントとしてこう伝えています。
オーストラリア海上安全局「福積丸の素早い反応が、時間との闘いだったミッションを成功に導きました。福積丸の支援に感謝します」
[via:テレビ静岡]
https://www.fnn.jp/articles/-/185875
オーストラリア軍が撮影したビデオ
オーストラリアの声明
インドネシア当局は5/13(木)にオーストラリア海洋安全局に、この船が遭難していることを通知しました。
翌日の5/14(金)、オーストラリア国防軍(ADF)の軍用機が、沈没しかけた漁船に乗組員らがしがみついた状態で発見。緊急ゴムボートと救命胴衣をグループに投下。
その後、5/15(土)に日本の漁船「第15福積丸」が到着。乗組員を救助した後、医療施設と通訳を備えたオーストラリアの軍艦に移送されました。
オーストラリア海洋安全局長のマーク・モロー氏は、
「海上で20人を救うことに成功したことは、関係するすべての関係者が誇りに思うべき並外れた成果です」
日本の漁船「第15福積丸」の迅速な対応は「このミッションの成功に不可欠であった」「この捜索救助任務における彼ら支援に感謝します」
と述べた。
[via:ABC AU]
https://www.abc.net.au/news/2021-05-16/indonesian-fishermen-rescued-off-coast-of-western-australia/100142992
救助されバリ島のベノア港に戻ってきた漁師が地面にキス
インドネシアの声明
インドネシアの外務省は、5/17(月)に声明を発表。
インドネシア人乗組員の救助は、その場所にいた日本の漁船「第15福積丸」の支援のおかげであると、オーストラリア当局と日本の漁船による救助活動を高く評価した。
「インドネシア政府は、乗組員全員を救うために、オーストラリア当局による救助活動と、日本の漁船やその他のさまざまな関係者による支援に感謝の意を表します。」と語った。
[via:Detik News(インドネシアの代表的なオンラインニュースサイト)]
https://news.detik.com/berita/d-5571552/km-bandar-nelayan-kecelakaan-di-samudera-hindia-20-abk-wni-diselamatkan
ネットの反応
・素晴らしい判断と行動力。
・やるなあ~、海の男たち!
・最高にカッコイイ
・暗いニュースの多い中、素晴らしい勇敢な行為。
・しけの海は一瞬で自身の命の危険もありうる。海の人たちだからこそ、相手の切迫感も感じたのだろう。映像を見ると、まさに沈没直前のところ。船員たちの勇気に拍手を送りたい。
・すごいな連携プレーやな オーストラリアから海保に要請があって海保から漁船に要請がいったってことかな?
・しかし、320キロが最も近いとは。海保が普通の漁船に救助要請することもあるんですね。
・早くても到着は8時間後?くらいでしょ 良く皆無事だったな!
・結構ギリギリのヤバイ状況だったんですね
・人が居ないとみるや探索したってんだから、頭が下がるなんてもんじゃないよ。なんかもう、素晴らしいとか凄いとか月並みの言葉じゃ形容できない。
・映像を見るとかなり荒れているので収容作業も困難だった事でしょう。
・船員が全員無事でホント良かった
・こうやって命を守るために国を問わず協力することは素晴らしいこと。
・日本はこういうこと表に出さないからな~世界にアピールすることはとても大切。
・命がけで救助した漁船を褒めてもバチは当たらんのに。冷たいと思う。
・日本のメディアは、政府の煽り報道しか興味ないのか?こういうニュースこそ報道するべき。
・英語版の記事では動画に救われた漁船員が土下座をして感謝の意を表していた。
>土下座というより地面にキスしてアッラーに感謝だけどね
・インドネシア政府が感謝したって聞かないね、20人も国民を救助してもらって。
・オーストラリア政府だったから日本船と協力した事を公表したけど、これが隣国だったら手柄を独り占めでしょうね。
・オーストラリアとインドネシアは中国包囲網に加わるべき大切な国。
・海の上では、国も宗教も関係ない。
・海の男ってのはいつ遭難や事故に遭うかわからない。助ける側も逆の場合もある。だから国籍や宗教なんて海に出てしまえばなんの役にも立たない。1番大事なのは助け合う事。
・日本の船舶は当たり前の事をしただけだと思います。でもこの当たり前の事を普通にこなす日本のシーマンを誇りに思います。
・どこでいつ遭難するか分からない海の危険と背中合わせで働く人達の助け合いは掛け値なしで見ていて気持ちがいい。全員が助かってよかった。
アメイジング!凄い!素晴らしい!
ただ凄いとしか言い様がない。
救助に関わった皆さん、お疲れ様でした。