「賭博の街」の米ラスベガスでこのほど、タクシー運転手が後部座席に置き忘れられていた現金30万ドル(約3150万円)を持ち主に返却する美談があった。
お金はプロのポーカー選手として有名な28歳の男性のものだった。地元のCNN系列局KLASによると、男性の身元は明かされていないが、紛失にうちひしがれ、頭を撃って自殺したいとの気持ちにも襲われていたという。お金が入った茶色の紙袋についてタクシー会社に問い合わせていた。
紙袋に気付いたのは運転手のゲラルド・ガンボアさん。別のCNN系列局KVVUによると、発見後、会社「イエロー・チェッカー・スター」の配車係に直ぐ連絡、持ち主を探すよう手配を求めた。ラスベカスのタクシー運転手は善良であることを示したかったとし、別の考えは浮かばなかったとしている。
「金額は10ドルでもそれ以上でも関係ない。私の尊厳は売り物でない」と主張。子どものころ両親に教えられたことを守っているだけとも語った。「正しいことをしただけ」とし、「ラスベカスは罪の街と呼ばれているが、それは違う。天使の街だ」と誇っている。
タクシー事業に32年従事しているという同社幹部は、30万ドルは車内に忘れられた現金としては過去最高額と説明。「本来の持ち主に返却することに非常に気を遣った」と振り返った。
クリスマスシーズンに起きた善行とし、「私が32年間で見聞した中で最も良い話。世界中のタクシー運転手は誇りを感じるだろう」とたたえた。
KLASによると、ガンボアさんはポーカー選手を約3.2キロ離れたカジノホテル2軒の間で乗せた。男性は5ドルのチップも加えて料金を支払い、降車。
ガンボアさんはその後、大通り「ラスベカス・ストリップ」沿いにあるカジノホテルで新たな客を乗せようとした際、後部座席にある紙袋に気付いていた。中身を確認したところ、100ドル紙幣が詰まった束が6個あり、仰天したという。
車に乗り込んできた客に証人になって欲しいと頼み込み、「私は何も触っていない」と事情を説明していた。
その後、当局に30万ドルの紛失物について連絡していた会社にお金を運んでいた。地元警察が4時間にわたって持ち主を探し、ポーカー選手のものであることを突き止めた。
イエロー・チェッカー・スターは、ガンボアさんの今回の功に報いるため1000ドルの報奨金、年間最優秀の運転手賞を授け、ステーキの夕食にカップルを招待しねぎらった。
[cnn]
http://www.cnn.co.jp/fringe/35041979.html
いい話ですな