6月22日にハンガリー・ブダペストで行われた第19回世界水泳選手権(19th FINA World Championships)、アーティスティックスイミングのソロ・フリールーティン(FR)決勝で、米国のアニタ・アルバレス(Anita Alvarez)が気を失い、コーチにプールの底から救出される出来事があった。
アルバレスは演技終了後に失神してプールの底へと沈み、呼吸は止まっていた。
それを見たアンドレア・フエンテス(Andrea Fuentes)コーチは、Tシャツに短パン姿でプールに飛び込み、水中から救出。
アルバレスはプールサイドで手当てを受けた後、担架で会場の医療センターに運ばれ、チームメートとファンもショックを受けた様子だった。中には涙を流して慰め合う人もいた。
米国チームはその後コメントを発表し、アルバレスの状態は良好だと明かしている。
スペインのスポーツ紙マルカ(Marca)はフエンテス氏の話として、
「とても怖かった。ライフガードが対応していなかったから自分が飛び込まないといけなかった。呼吸をしていないのが見えたから怖かった。でも今は非常に元気にしている」
と伝えた。
また、自身もアーティスティックスイミングで4個の五輪メダルを獲得しているフエンテス氏は、ライフガードの対応の遅さを批判。
スペインの日刊紙アス(AS)で、「彼女が沈んでいくのを見て、レスキューの方に目を向けたが、彼らは固まっていた。反応していなかった」とコメントし、「自分は一目散に飛び込んだ。彼女をつかんで持ち上げたが、重くて簡単ではなかった」と振り返った。
フエンテス氏によると、アルバレスは演技中に体力を消耗したことで失神し、「肺に水が入った状態で、再び呼吸をし始めてからは全く問題なかった」という。
23日は休養するが、検査を受けてから24日の団体種目には出場を希望しているという。
アルバレスは今回が3度目の世界水泳で、昨年行われた五輪予選でも失神したと伝えられている。
[via:AFPBB News]
https://www.afpbb.com/articles/-/3411241
競技中のアルバレス選手
対応の遅れを大会関係者が弁明
ハンガリー医療サービスの責任者を務めるベラ・メルケリー(Merkely Bela)氏は23日、地元メディアに対し、レスキュースタッフは「ライフガードが介入するタイミング」に関する「FINAが定めた非常に厳格な規則」に従ったと強調。
「このルールの下では、何らかの出来事で競技プログラムが中断されたシグナルとして、FINAが派遣した審判員がプールへ飛び込むことがある」と説明した。
さらに「水曜日(22日)の決勝では、審判からそのようなシグナルは何もなかった。
選手のコーチからシグナルがあったとしても、彼らは介入を許可されていない」とした上で、「コーチが自身の責任でプールに飛び込んだ後、地元のライフガードが危険を察知して即座に介入を決断した。そうして、米国選手は彼らの助けを借りてプールから出ることができた」と述べた。
統括団体のFINAも、今回の事故が適切に処理されたと指摘。
「アーティスティックスイミングのソロ・フリー決勝で医療的緊急事態が起きて以降、FINAはアニタ・アルバレスとチーム、そして医療スタッフと緊密に連絡を取っている」とし、「アルバレス選手は会場で即座に医療チームから手当てを受け、健康は良好だ」と明かした。
一方、米代表チームの広報担当者であるアリッサ・ジェイコブス(Alyssa Jacobs)氏は、現時点でもアルバレスが24日に行われるチーム・フリールーティン(FR)決勝に出る可能性があると発表。
「アニタは元気にしていて、きょうは休養を取っている。チームドクターと大会の医療スタッフの両方からしっかり診断を受けている。
2022年の世界選手権ではあと一つ決勝が残っていて、医療的な許可が出たら、あす競技が可能かどうか彼女が決めることになっている」と述べた。
[via:AFPBB News]
https://www.afpbb.com/articles/-/3411187
水中カメラが捉えた一部始終
プライベートのアルバレス選手
バカンス中のアルバレス選手
ネットの反応
・助かって本当によかった。
・2mの深さでも結構怖いもんだが、すげーな
・写真がシビアすぎるな
・目開けたまま失神してんだな
・生で見てたらトラウマになりそう
・コーチは女性なんだ 一人でプールの底から水面まで救出とか凄いね
・コーチの迅速な行動に称賛を送りたい。
・凄い信頼関係のある師弟だと思った。
・このコーチは本当にすごい。演技や技術の指導だけでなく、本当にいざと言う時に誰よりも早く選手を助ける行動をしているのは選手をしっかり見ている最高のコーチ。
・こんなんなって2日後にまた出場する予定とか本気か
・シンクロはいっぱいいっぱいの競技なんだな。
・体力も酸素もギリギリでやってるからこんなことになる
・ライフガードは審判の許可が出るまで沈んでる彼女をただ見てたのか。
・競泳と違って動きが一定じゃないから演目の流れがわかっているコーチがライフセイバーより先に動けるのは不思議じゃない。これでライフセイバーが責められるのはおかしいと思う。
・毎日一緒に練習してないと異変かどうか分からんでしょ
・写真からもわかりますが、気を失った人はすぐに浮いてくるわけではありません。アスリート体型の人は筋肉質であるために更に浮きにくいです。
・自分も競泳の世界にいたけど、同じチームのシンクロ選手達の体力は競泳陣より凄かったし、一度の競技で必要な体力も遥かに上だとコーチ達から聞かされてた。失神までいかずとも自力でプールから上がれなくなってしまう事も普通にあるので、この選手もそれだけ全力の演技をしたんだと思う。
・この選手は演技後の失神が以前もあったとのことで、ブラックアウトしやすい体質なのでしょうね。
・失神って癖になるよな
・二度目ならコーチが反応できるのも分かる。
・コーチングスタッフが、救難などの体制を事前に把握していたこと、選手が過去にもブラックアウトをしたことがあったことを記憶するなど個々の選手の特性を理解してること、それらを総合的に冷静に判断してのコーチの対応だとも想像できる。
・こういう時のレスキューは、シンクロ経験者でないと難しいのではないか。
・例えば水深5メートルの水底に沈んでいる人を素手で入水救助するためには、救助者はそこまで潜るために息を吐ききらないと身体が沈みません。水底に達してから限られた肺の残気で要救助者の脇の下に両腕を背中から通し、引き起こすように浮かび上がらせ、救助者の脚力だけで浮上しなければなりません。
・コーチがシンクロ経験者で重い身体を引き上げるだけの立ち泳ぎで鍛えた脚力があったのが救い。
・水泳舐めたらアカンぞ 失神なんて日常
・昔プールの監視員のバイトをしていたことがあって、時折シンクロナイズドスイミングの選手が来てた。練習はめちゃくちゃスパルタで、信じられないほどの強度の運動を何時間も繰り返す。で、その過程でたまに失神する選手がいて、一緒に泳いでる他の選手が抱えて浮上することもあった。何度も目の前でそういう状況を見ている人は咄嗟に動けるんだよね。ライフセーバーはまさか水泳競技者がそんなにカクッと失神するなんて思ってなかったのかも。
・溺れている人は救助する人にしがみついたりして、救助する人も溺れるという二次災害の可能性もあります。安易に飛び込むのは危険ですが、一般人がもしやるならば、周りに助けを呼び協力を求める、浮き輪を持って助ける、というのが重要でしょう。
・シンクロって今はアーティスティックスイミングって言うんだw
・使えないライフセーバーw勃起しとる場合ちゃうで