「ゆっくり奥までソウニュウしてください」
「左手を軽くソえてね」
――何も官能小説の一部分でなく、れっきとした大学受験生向けの「漢字問題集」に収められた文章だ。
大手予備校「駿台予備学校」(駿台)傘下の出版社「駿台文庫」(東京都千代田区)から刊行されたものだが、下品な例文が多すぎるとの批判が数多く寄せられた。
駿台側は、例文の表現について「変化の激しい現代にあって、より新しい言葉づかいにしようとした」と話している。
今回問題視されたのは、2015年2月に発売された「生きる センター漢字・小説語彙」だ。センター試験水準の漢字、語彙にまつわる設問をおよそ700題収録し、1つ1つに丁寧な解説が付けられている。
著者は、問題集以外の著作もある駿台の名物講師、霜栄(しも・さかえ)さん。同書のあとがきに「基本を深く、難問を楽しく。ぼくの話に笑ってくれる人の心づかいに超感謝」と書いている。
そんな問題集の中に「下品な」例文が収められていると話題になったのは16年1月11日頃だ。
あるフェイスブックユーザーが写真とともに報告し、複数のまとめサイトも取り上げて急速に拡散。同日中にはツイッターでも共有され始めた。
同書を見てみると確かに、まるで官能小説から抜粋したかのような「過激」な例文が多い。
漢字の書き取り問題では
「彼女のなだらかなキュウリョウをうっとりと眺めた」
「ゆっくり奥までソウニュウしてください」
「左手を軽くソえてね」
「彼女がリズミカルにシめ付けてきた」
「敏感なところは強くシゲキしちゃダメよ」
「胸のデカさに俺はキョソを失った」
と性的な事柄を連想させる表現が並ぶ。
語彙の意味を答える問題では、
「『息をのんで』女子の着替えを見つめる」
「彼はあやしげなDVDが本棚にあるのを『目ざとく』見つけた」
といった例文も見られる。
また、これ以外にも
「男はいつもゲンワクされたがっているのよ」
「夫婦間の家事ブンタンなんて幻想だ」
「男の収入をドガイシできる女なんているのか?」
と特定の価値観に偏ったものもあった。
こうした例文に「シャレにもならない下品さ」「学生さん達が(これで)勉強しているなんてぞっとする」とネットで批判が殺到し、通販サイト「Amazon」の同書販売ページには、星1つの低評価レビューが相次いで投稿される事態となっている。
「過激」とも言える例文を収録した意図は何だったのか。
駿台予備校や駿台文庫を運営する学校法人駿河台学園の広報部はJ-CASTニュースの取材に対し、例文を考えたのは著者の霜さん自身だと明かし、
「変化の激しい現代を生きていくため、より新しい言葉づかい、より生徒さんに覚えやすい表現にしようとしたためです」
と語る。
駿台予備校生からの苦情は寄せられていないか、との質問には「それは把握していません。彼らは今週末のセンター(試験)に向けて今必死に勉強しておりますので…」と答えた。
ただ、「不愉快に感じられた読者の方には謝罪したい」とし、「改訂版発行時に一部表現を修正することも協議しています」と明かした。なお、刊行前の編集会議には女性スタッフも参加していたという。
いわゆる「下ネタ」を取り入れた問題集は、これだけでない。
東進ハイスクールの人気講師が執筆し、語呂合わせで古文単語を覚えられると評判の単語帳「古文単語ゴロゴ」には「初Hで死ぬ」(はつ=死ぬ)「あそこばっか吸ってなさる」(あそばす=なさる)といった例文が登場する。
[引用/参照/全文:http://www.j-cast.com/2016/01/13255454.html ]
駿台文庫は問題集の販売停止と、書店の在庫回収を決めた。
下ネタ問題文を抽出
彼女のなだらかなキョウリョウをうっとりと眺めた
→丘陵
うぉぉ、いいナガめ!
→眺(め)
彼女の体のユルやかなラインが僕をほっとさせる
→緩(やか)
胸のデカさに俺はキョソを失った
→挙措
私のリョウイキを侵して
→領域
君のエキスをチュウシュツして飲み干したい
→抽出
左手を軽くソえてね
→添(え)
彼女がリズミカルにシめ付けてきた
→締(め)
ゆっくり奥までソウニュウしてください
→挿入
彼女の人生に俺という存在をコクインしたい
→刻印
ジェンダー問題文を抽出
夫婦間の家事ブンタンなんて幻想だ
→分担
一定スイジュン以上の女の子しかここには入れないんだ
→水準
男の収入をドガイシできる女なんているのか?
→度外視
[引用/参照/全文:http://bylines.news.yahoo.co.jp/ishiwatarireiji/20160113-00053381/ ]