8月12日、SさんはTwitterに1本の動画を投稿した。電車内で、大音量の音楽をかけビール片手に踊り狂う数人の欧米人と思しき男女の映像だ。
周囲の乗客たちは時折、彼らのほうをチラリと見るだけで、かかわり合いにならないようにしている。Sさんは動画を投稿した際、「※上野東京ラインの現状です」とだけ書き加えた。
騒いでいる連中を非難する言葉も、ましてや彼らが外国人であることを言及すらしていない。ところが翌日、Sさんのアカウントはロックされ、投稿は強制的に削除されてしまった。
公共の場での迷惑行為を問題提起する投稿がなぜ削除されなければならないのだろうか。
Sさんに話を聞くと、車内で踊っていた集団は、Sさんが横浜駅から乗車したときにはすでに車内におり品川駅まで騒ぎ続けていたという。
「夜9時頃の割とすいている車内ではありましたが、他の乗客もいる中で、Bluetoothスピーカーのようなものまで使って大音量で音楽をかけて騒いでいました。
踊っていた外国人のうち動画の右側のほうに映っている黒人男性は、ときおり日本語らしき言葉も口走っていました。品川駅で駅員に通報しようと思っていたのですが、彼らは品川駅で降りてしまいました。
こうした迷惑行為は問題だと思うので、問題提起のために動画をアップしました」
日本に全く馴染みがない外国人というわけでもなさそうだ。
ところが、Sさんの投稿には賛否両論のリプライが殺到する。外国人たちの迷惑行為を批判する声もないではないが、「楽しそう」「外国人のこういうとこ見習いたい」などの声も多数。
TABLO編集長の久田将義氏は「外人さんは百歩譲って仕方ないですが、一緒に踊っている女性がダメ」とツイート。
「百歩譲って」と断っているものの、双方を非難するのではなく、その場で外国人に誘われ踊りの輪に加わっていた日本人と思しき女性乗客のほうに重きをおいて批判した。
逆にSさんを非難する者も現れた。
「何がいけないの? 盗撮こそが迷惑行為だろ。肖像権も侵害してるし。あんたを通報しとく」
「なら直接注意すればいいじゃん できないのにゴタゴタ言うなよ」
「なんで面白がって撮ってるんでしょうか。撮るんだったら注意しろよ日本人よぉ~と思いますね」
「周りの楽しそうな人見て妬むタイプですか。それを目前にして楽しまれへんから故の僻みですか。自分が出来ないことをしてる人たちに対しての嫉みですかね。あなたみたいな日本人が少ないことを願います」
迷惑行為をしているのは電車内で騒いでいる集団だ。しかし、その騒いでいる人が”陽気なイメージ”がある「外国人」だから大目に見られて、問題提起をした人が非難されるという事態に至った。
騒いでいる人がもし、いわゆるDQNなどと呼ばれる類の日本人や、アジア系の外国人だったら同様の声で擁護されたのかも疑問だ。
そして、何者かがTwitter社に通報したのだろう。投稿の翌日、Sさんのアカウントはロックされ、動画を含んだ投稿の削除に同意する以外にアカウントを復活させる方法がなくなった。Sさんはやむなく動画の削除に同意した。
一方的な削除では議論にすらならない
陽気で楽しそうだろうが、外国人であろうがなかろうが、公共の交通機関の中で大音量で踊るのは迷惑行為であることに変わりはない。
もちろん、文化の違いとして大目に見てやろうという意見もあっていいだろう。
「迷惑といっても人を傷つけるなどしているわけではないのだから、ネットで晒すほどではないのではない」という類の批判であれば、まだわからないでもない。
しかし、具体的にどのような問題だったのかを示す動画の投稿が削除されてしまうようでは、議論どころではない。
Sさんの行為に対して「隠し撮り」との批判もある。しかし、公共の場で迷惑行為をはたらく集団に「あなた達の迷惑行為の証拠を確保するために撮影させていただいていよろしいですか」と許可を求めろというのだろうか。
大音量で乗客に迷惑をかける外国人の行為を不問にするなら、違法でも何でもない隠し撮りを非難する理由もないだろう。
また、Sさんの投稿は、撮影された対象が外国人だからと言って差別的な言葉を浴びせたヘイトスピーチですらない。
Twitterに動画を投稿したことについても、何の落ち度もない一般の通行人を撮影して面白半分に晒すのとはわけが違う。
公共の場で公然と迷惑行為を行う集団についての問題提起という公益目的でなされたものだ。動画が出回っていることを知った当人たちが反省するかもしれない。
あるいは、こうした問題全般に対する問題意識を社会が共有できるようになるかもしれない。動画を見たJRが何か、類似の問題を防止するために何か対応するかもしれない。
しかしTwitterではそれが許されないようだ。動画の投稿自体が違法なわけでも問題があるわけでもないのに、問題提起した側が非難され、アカウントがロックされる。異議申し立てをする術すら、実質的にない。
しかも、平然と外国人(主にアジアの人々)を差別するあからさまなヘイトスピーチは放置されていることが多いにもかかわらず、だ。
Sさんに対して「(その場で外国人たちに)自分で直接注意しろ」といった類の批判もある。しかし明らかに良識を欠いた酔っぱらいの集団に1人で挑めば、さらなるトラブルの原因になりかねない。
Sさん自身が危険な目に遭う可能性もあれば、騒ぎになってほかの乗客にさらなる迷惑がかかる可能性もある。JR東日本の広報担当者は、取材に対してこう語る。
「そのような場合は、列車が駅に停止した際に駅員に相談して下さい。また、そういう集団が刃物を持っているなど、人に危害が及ぶ危険がある緊急の場合であれば、車両内のSOSスイッチを押して下さい。スイッチが押されると、列車を止めて乗務員が安全を確認することになってきます」
今回のケースでは、SOSスイッチを押すほどの緊急性はなかっただろう。証拠を動画で保全して、駅についたら駅員に伝えようと考えたSさんの判断は、「正解」だったと言える。
いや、この点についてすら、違う意見を持つ者がSさんを批判することは自由だ。自由に意見を戦わせればいい。
「外国人がゴキゲンな音楽を流して踊る姿は、日本人が同じことをするよりサマになって好感が持てるかもしれません。しかし同じ車両に乗っている乗客としては、迷惑でした。
個人的な感情と社会的常識から見た良し悪しは、切り離して考えるべきではないでしょうか。社会的な視点での議論を期待したのですが、外国人擁護の姿勢で批判してくる人たちは、あまり聞く耳を持ってくれなくて……」(Sさん)
しかも議論の大前提となる動画が一方的に削除されてしまえば、議論以前に問題提起ができない。意見の正否と関係なく「通報したもの勝ち」なTwitterの暗部が、改めて示された形だ。
市民の自由で合法的な問題提起を潰すTwitterは、表現の自由と民主主義の敵とすら言えるのではないだろうか。
[via:http://news.livedoor.com/article/detail/15160608/]
ネットの反応
・Twitterの管理会社がクソだとよくわかるニュース
・楽しそうだったら許される?世の中アホが増えた。
・迷惑行為を告発したらアカ削除w
・いつから日本はこんなに自由になったんだ (笑)
・日本では傍若無人な行為が許されると思ってる一部外国人は腹立たしい
・ツイッターを見ていて、感覚の違いに驚かされる事は良くあるが、どうも『楽しければ、良い』と言う危険思想が、ここにも蔓延しているように思う
・特定外来種が、日本固有の自然環境を破壊する事象は皆んなが知るところ。やっぱり人間もそうなのかな、と思ってしまう。
・のってるつもりだけど、微妙に乗り切れてない日本人女たちが痛すぎる
・Twitter社の管理体制が変だよ。
・相手が違法行為をしていたとしても、今の日本の法律ではこの動画投稿は名誉毀損になる可能性がある。だからアカウントロック等の対応をされてしまうのだろう。
・迷惑行為を盗撮してはいけないのであれば何かあったときの録音も駄目ですね
・お互い様かもしれないが、迷惑な外国人多い。ここまでくると日本のマナーを知らなかったではなく確信犯ですよね。
・とりあえず、いきなり投稿するのではなくって、駅員に「車内でこういうことがあったよ」とか言って、見せるとかすればよかったということなんだろうね。
・ユーチューブにアップしていたらどうなっていたんだろう
・Twitterだからだょ。何でもかんでもヘイト扱いで表現の自由なんて最初から無いじゃん。
・まあ、ネットでは多数派にはならんだろうが、俺も、問題提起したいなら、SNSなんぞ使うのではなく、別な手法でやるべきだと思うね。
・映像を報道機関に送れば、プライバシーの問題など、きちんとコンプライアンスに配慮した報道をしてくれるだろうし、映像を駅員に見せて、今後の対応を依頼してもいいだろう。
・「迷惑だ!」「郷に入りては郷に従え!」この東京の動画賛否両論あるみたい(笑)僕的には日本は窮屈な国だなーと思う。
・日本じゃディスられるのは分かるけど、俺個人としては電車でこんなんが許される方がピースで良いなw
・これはとても不愉快。「日本では何しても怒られないし〜」とただナメられて調子に乗ってる様にしか見えない。
・こういう状況でさらっと注意できる…そういうものにわたしはなりたい
・東京オリンピックのときもこうなる予感。駅員でなんとかなるレベルではないような気がする。
・Joyの押し売りは要りません