千葉県浦安市が、東日本大震災の液状化被害で地上に突き出したマンホールをモニュメントとして保存する工事に着手し、地元住民との対立が強まっている。住民側は市議会に約3800人分の反対署名を提出したが、モニュメントは来年2月に完成の見通しだ。
浦安市高洲の「高洲中央公園」の駐車場で、存在感を示す高さ約1メートルのマンホールは、液状化被害の象徴として度々テレビなどで紹介された。マンホールは、災害に備えて飲料水約100トンを備蓄する貯水槽の一部。震度7の揺れに耐えるとされたが震災で損壊した。
「震災モニュメント建設中止を求める会」を結成し、署名活動に取り組んだ主婦(65)は「浦安イコール液状化のイメージが定着してしまう。多くの住民が反対しているのに、一方的に事業を進めるのはおかしい」と批判する。
浦安市がモニュメント整備を決めたのは昨年5月。災害対策事業費から約150万円を計上し、今年10月に着工した。松崎秀樹市長は「災害に強い地域づくりを目指す上で被害の象徴として、次代の子どもたちに防災の大切さを伝えたい」と保存の意義を強調する。
市によると、震災で市内の86%が液状化。同市高洲では今も歩道が波打ち、傾いたままの街灯も目立つ。今年3月に発表された高洲の公示地価は1平方メートル当たり21万6000円。震災前に比べて約15%も下がり、下落幅は県内で最大だった。
[zakzak]