自転車の運転も悪質なら“厳罰”へ。警察庁が、悪質違反を繰り返した自転車運転者への安全講習義務付けを盛り込んだ道交法改正試案を公表した。交通ルールを徹底し、事故を抑止するのが狙いだが、受講しない場合の罰金刑も検討するという。免許制度のない自転車に罰則付きの義務を課すことには疑問の声も上がる。一体どうなる?
警察庁によると、信号無視や酒酔いといった危険な行為で2回以上摘発された運転者に、事故で家族を失った遺族の手記を朗読させるなどの講習を義務付ける。刑法の規定で14歳未満の少年は刑事責任を問われないため、対象にはならない。
15日からメールや郵送で意見を募集し、今国会での法案成立を目指す。
自転車は道交法上の「軽車両」で、自動車と同じような規制がある。年齢を問わず幅広く普及しているが、体系的な教育の機会がなく、運転に関する知識や技能を確認する仕組みもない。
警察庁の調べでは、交通事故件数に占める自転車の割合は増加傾向で、自転車と歩行者の事故は2001年の1817件から11年には2806件にまで増加。同庁の担当者は「悪質な運転者の矯正教育の場がなく、確実に受講してもらうためには義務化が必要と判断した」と話している。
悪質自転車への“罰則”について、日本サイクリング協会の小林博業務第1部長は「道路は公共の場であり、自転車だけでなく歩行者やバイク、自動車も通行する。自転車も交通ルールを守らなくてはならないのは当たり前で、安全講習の義務付けは当然だ。無謀な運転をする人が多く、中には子供の姿を見掛けることもある。小中学校などで自転車のルールに関する教育をさらに徹底することも必要だろう」と前向きだ。
ただ、取り締まりの徹底が先との声もある。
岩手県立大の元田良孝教授(交通工学)は「警察はこれまで自転車に対する取り締まりをあまりやってこなかった。マナーの悪い自転車の運転者が増えたのは、それが一因とも言える。安全講習を義務付ける前に、取り締まりを強化することが先なのではないか。歩道の通行をやめさせ、車道通行を徹底させることも必要だ」と指摘する。
果たして行方は…。
[zakzak]
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130215/dms1302151216015-n1.htm