千葉県佐倉市と酒々井町にまたがる国史跡「本佐倉城跡」にある「双体道祖神」がなくなり、同市が情報提供を呼びかけている。

何者かが持ち去ったとみられ、市の担当者は「地域の人たちが大切にしていたもの。絶対に戻してほしい」と訴えている。

同市教委文化課によると、なくなったのは、両市町にまたがる同城跡周辺の１０体のうち、唯一同市側にあった１体。高さ約３１センチ、幅約１５センチで、女神と男神が仲良く寄り添っている。２月１８日朝、散歩をしていた住民が、前日朝には見た道祖神がないことに気付いた。自由に出入りができる山道で、大人なら簡単に運べるため、市は何者かが持ち去ったとみて佐倉署に盗難届を出した。

道祖神は、地域や街道の安全などを守る神とされる。このうち、男女が寄り添っている双体道祖神は縁結びや夫婦和合、子孫繁栄の神様としても信仰され、酒々井町教委によると、全国では長野県や群馬県などに数多くあるが、本県では非常に珍しいものだという。

住民がしめ縄を飾るなど大切にしており、近くに住む農業江川忠男さん（７１）は「城跡は見学コースも整備され、訪れる人も多い。そこで見つけた人が転売目的で持ち去ったのではないか」と悔しがる。

同課の担当職員は「持ち去るなんてもってのほか。どこかで見かけたら教えてほしい」と情報提供を呼びかけている。

[読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130404-OYT1T00357.htm