東京・渋谷や吉祥寺などで映画館を展開したり、映画配給をおこなっている「アップリンク」の代表から、日常的にパワハラを受けたとして、元従業員の男女5人が6月16日、代表とアップリンク社など3社を相手取り、損害賠償をもとめる訴訟を東京地裁に起こした。
原告5人のうち4人は、浅井隆代表とアップリンク社など会社側に対して、1人あたり165万円、原告の1人は会社側に対して100万円の損害賠償をもとめている。
この日の提訴後、原告4人と代理人が都内で会見を開いて明らかにした。
原告は、浅井氏から「議論する余地はない。会社に残るか去るか」などと高圧的な言い方で退職を迫られたと主張。また、他の社員が浅井氏に逆らうことが出来ないような労働環境だと強調した。
●「映画館利用客の前で叱責された」
原告代理人によると、次のようなパワハラ例があったという。
・休日返上の業務中に、猫カフェに一緒に入店するよう求められ、業務とは無関係に2時間も拘束された
・従業員に対して「精神疾患者を雇った俺がおかしかった」と発言
・浅井氏が落とした物を浅井氏自身が拾うことができるにもかかわらず、従業員に拾わせる
・アップリンク従業員、映画館利用客、他社の従業員の前で叱責
・従業員に対して「怒鳴られる側が悪い」との発言
●「心身に不調をきたすようになった」
2年半にわたり契約社員として配給宣伝の業務に携わってきた浅野百衣さん(31)は会見で
「入社した日から退職する日まで、暴力的な発言、待遇によって、私や同僚が傷つけられる場面に何度も直面してきました」
「社内に響く浅井社長による暴言には耐えることができず、会社に行く途中も足がすくみ、電車を降りたこともあります」
「上司もサポートしてくれず、お金が支払われないサービス残業を強要された」
「インターネット上で浅井氏の名前を見ると、体がこわばって、つらかった思いがよみがえってくる。同僚が、そういう環境で働いていると考えると心苦しい。これから入社する人のことも考えると、環境を変えず退職したのは申し訳ない」
と話した。
学生時代にアップリンクに入り、1年半後に社員に登用されて合わせて4年半ほど勤務した錦織可南子さん(26)は、社員になってから浅井氏の度重なるパワハラに遭ったと説明した。
「浅井氏による度重なるパワハラにより心身に不調をきたすようになりました」
「入社して数カ月後に休日業務をした揚げ句、業務中に業務場所の近くの猫カフェに『ちょっと寄っていこうかと一緒に入店するよう求められ、断れず2時間、滞在させられた」
「被害は私の身だけに降りかかったものではありません」
「アップリンクに魅力を感じて入社した人が、浅井氏のハラスメントによって深く傷つき、やめていく姿を何度も目にしてきました」
19年8月には、正当な理由がないにも関わらず正社員から有機雇用契約への変更を宣告され「条件をのめないなら、辞めてもらうしかない」と退職に追い込まれたという。
また、浅井氏が同僚に対して「殴るぞ」などと暴言をはいたり、怒鳴っていたことも明かした。また、
「アップリンクを退社後、同社と取引関係がある他社で働き、3月末に3カ月契約を更新したが、今回の会見を開くにあたり、契約が6月で終了になった」
「アップリンクと取引がある関係性なので、会見に出ないで欲しいと言われた。コロナ禍で経営が傾いて、契約が6月で終わったと言われた。(会社は)会見と相関関係がないと主張しているが、私は疑問を感じています」
と訴えた。
17年11月からアルバイトとしてアップリンクのカフェレストランで働いていた鄭優希さん(25)は
「在日コリアン3世で、心ない差別をしばしば受けたから、アルバイト選びを慎重にしていた。人種差別の問題を扱う映画を萎縮せず公開しているアップリンクがスタッフを募集しており、ここなら安心できると応募しました」
とアップリンクで働いた経緯を語った。
「実際に働いてみると、浅井氏に対して、すごくビクビクしているような社員がいたり、同氏の威圧的な態度でオフィスが静まり返ってしまうような、異様な雰囲気を感じることがよくあった」
と、アップリンクという会社の外面的な印象と、社内の実情には大きな開きがあると訴えた。
「私自身、他の社員からモラハラ的な態度を受けて、すごく悩んでいたが、他の上司も浅井氏に対して萎縮し、もの申せない様子があったので、気軽に相談できる環境が全然なかった。
他のスタッフに対する浅井氏の態度を見ていると、心が苦しくなって、自分も傍観者になっているんじゃないかということが耐え切れなかった」
と吐露した。その上で、鄭さんは
「アップリンクは、さまざまな人…特にマイノリティーから、たくさんの期待を背負っている場所。そういうふうに、人々がエンパワーされる(夢や希望を与え、勇気づけられる)ような場所で、どうして声が押し殺されてしまうような構造が出来ているのか納得いかない」と主張。
「私自身、アップリンクで働いている間は、自分で自分を偽らなければならなかった、違和感だらけの時間だったと思っています。パワハラを見て見ぬふりは、もうしたくない…皮肉にも、それがアップリンクで学んだこと」と訴えた。
原告の1人で、劇場運営スタッフだった清水正誉さん(34)は会見で、
「1番、申し上げたいのは日常的なハラスメント。自覚していただき、向き合った上での謝罪。それでも、なおアップリンクが続く場合は改善、ちゃんとスムーズに、いい空気で仕事が出来るような場になってもらいたいのが要望」と提訴した意図を語った。
新型コロナ下でミニシアターの存続が危ぶまれていることに触れながら、「裏切り者」とレッテルを張られる不安もあったが、「存続の危機に陥っているからといって、ハラスメントが許されるわけではない」と語った。
原告代理人の馬奈木厳太郎弁護士は
「1人2人に対するパワハラを超えた会社全体の問題として考えないといけないほど深刻だった」
「雇用条件や契約関係について理解がなく、労使関係にある自覚が弱い」
「使用者は労働者の全人格を支配できるわけではない」
と述べた。
なお、原告はこの日、アップリンクの元従業員を対象にした被害者の会を立ち上げた。
【被害者の会のサイト】
UPLINK Workers’ Voices Against Harassment(UWVAH)
[via:弁護士ドットコム/日刊スポーツ]
https://news.livedoor.com/article/detail/18425485/
https://news.yahoo.co.jp/articles/351a205393bb0479b57b3c729d4494c877dbbfc5
UPLINK・浅井隆代表
アップリンク浅井隆代表の声明
映画館を運営する有限会社アップリンクの代表である浅井隆氏が、元従業員からパワーハラスメントで訴訟されたことについて16日、声明を出した。
浅井氏はアップリンク公式サイトで、「元従業員からの訴訟について」と題しコメントを発表。
元従業員の方々から訴訟を提起されたことに関して、真摯に受け止めております。
不適切な言動があったことを深く反省し、謝罪致します。
本件の解決に向けて、誠意をもって対応をして参ります。
社としてもハラスメントの再発防止に努めていく所存です。
改めて詳細なコメントを発表します。少々お時間をいただけますようお願い申し上げます。
2020年6月16日
有限会社アップリンク
取締役社長 浅井隆
アップリンクは、2005年から東京・渋谷でミニシアター「アップリンク渋谷」を運営。2018年12月には吉祥寺パルコ地下2階に「アップリンク吉祥寺」を開館、3館目の新しい映画館「アップリンク京都」が11日にオープンしたばかりだ。
[via:シネマトゥデイ]
https://www.cinematoday.jp/news/N0116736
「ミニシアター・エイド基金」事務局の声明
有限会社アップリンクが「ミニシアター・エイド基金」基金の支援を受ける参加団体の一つであったことから、運営事務局は17日、声明を発表した。
アップリンクには「ミニシアター・エイド基金」の3万人に及ぶ支援者からの支援金(3億円超)の一部分配されており、事務局にいくつかの問い合わせがあったという。
事務局は、アップリンク元従業員の訴え、それに対しての浅井氏の謝罪文をふまえたうえで
「パワハラ自体は否定されざる事実である、と私どもは認識しております。
ハラスメントはいかなる理由があっても許容されるものではありません。
浅井隆氏には謝罪文にある通り、『深く反省』し、『誠意をもって対応』していただきたいと考えます」
とコメント。
以下の理由から当初のスケジュール通りに支援金の分配を行うこと、そのなかにアップリンクも含まれることへの理解を呼びかけている。
「今回、浅井隆氏が告発を受けているその種々の内容の正否については、当事者同士の話し合いに委ねざるをえませんが、ミニシアターへの支援を広く世間に対し呼びかけ続けた今だからこそ、私たち映画業界に生きる人間は自分ごととして重く受け止めなくてはなりません。
ことはアップリンク、ミニシアターだけの問題だけではなく、映画業界全般の信頼と労働意識が今問われているのだと思います。
改めて、決して被害を訴えた側が不利益を被ることがないよう、また今現在もアップリンクで働く社員の労働環境が守られるよう、浅井隆氏には真摯に被害者の言葉に耳を傾けることを私たちは強く望みます」
[via:シネマトゥデイ]
https://www.cinematoday.jp/news/N0116740
「ミニシアター・エイド」の発起人でもある映画監督 深田晃司氏の声明
ネットの反応
・このタイミングで何があったんだ
・しかし内部がパワハラまみれとかガッカリだな
・素晴らしい映画やってたとしても気分悪いし行く気無くすわ
・営業会社だったら普通の光景な気もするが文化系の社員には耐えられなさそうだな。
・昔の女友だちも働いてたな。当時ヤバいって言ってたけどこういうことだったか。
・アップリンク浅井隆氏、以前から、腐るほど見てきた『ハラスメントへの感度が低いリベラル中年』の典型というイメージだったので、まったく驚きがない…
・つかあんな小さい映画館で5人ってほぼ全員じゃないのか?
・まぁ、あれやで 一ヶ月で覚えられる仕事やし、3年以上居ても迷惑なだけだから、辞めてほしくてパワハラするんやで。若い子が常時花弁回転する形態がベターな会社やったんやろ
・氷河期世代が若者だった頃に日本のカルチャーが盛んだったのは、使い捨てできる人材が沢山いて、しかも使い捨てしてもこうやって訴えられる心配がなかったからなんだよな
・猫カフェはご褒美だろ
>わざわざ休出した日に社長とだぞ
>おごりだったのかどうかで結果が360度違う
・ミニシアター系の意識高い系の人たちか。この手の「リベラル」はハラスメント多いな。
・意識高い系って決まってパワハラセクハラが横行してるね
・ラピュタ阿佐ヶ谷もパワハラで経営者が訴えられてるしそういう土壌の業界なのかもね
・映画業界によくあること。人の犠牲に成り立っている悪循環。
・癖強い人の集合体だからな謎ルールばかりの業界
・そりゃ浅井って天井桟敷の舞監だからなパワハラなんて生活の一部やろ
>浅井も天井桟敷の頃修行として地中に埋められたりしてるし、その頃の感覚を引きずってんだろう だから悪いことした感覚はないと思うよ
・浅井さんがヤバいのは昔から有名だけど、「でも、アップリンクは良い仕事してるから・・」という擁護が各所から聞こえてくるのがずっと気になってた。普段、人権を高々に叫んでたりするのに、そういう所はお咎め無しなんだ、と。浅井さんもそれを擁護する人々も。
・サブカル系って若者に人気なのをいいことにやりがい搾取で成り立ってるようなのが多いからなあ
・同性にセクハラした松江哲明とか未だに逃げ回ってる
・ミニシアターのクラウドファンティッグで3億集めた立役者の1人なんだよな
・ま、コロナ後の世界で映画館はもう斜陽だな
>潰れる前に取れる金は取っとかないとね
・個性的な映画配給してくれるのは助かる
・ヒゲと薄らハゲ、リリーフランキー的なサブカル説教野郎かな
・全員に満遍なくパワハラするとこうなるから、ターゲットを絞るのがクソ上司
・老害世代はパワハラやサービズ残業を強要しすぎ
・日本中に乱立してるシネコンだって若者いなさすぎてシフトなりたってない
・牛丼屋で外国人バイトが日本人店員に叱責されてるのもよく見るな。客前で怒ってるお前が一番メシを不味くしてるんだよと思うような。
・演劇や映画界って供給側と需要側の人格が極端に離れてる業界なのよね。供給側は基本詐欺師だからねw芸能界も似たようなもんだと思ってる。
・ただでさえマニアックな映画やってて儲けないような所なのに働いてくれる若者は大事にしろよ。
>前から業界内の評判としては訴えられた通りなので大して影響ないと思う。外から金は引っ張りにくくなるかもなあ。