「法改正で罰則が導入されても、営業は続ける覚悟です」
時短などの命令を拒めば過料を科されるようになる中、複数の店舗が深夜営業をつづける居酒屋運営会社の社長は、そう話す。
新型コロナウイルスの感染拡大に対応する改正特別措置法が13日に施行されるのを前に、社長を訪ねた。
今月2日夜、緊急事態宣言がつづく福岡県。飲食店などが密集する北九州市・小倉駅前の繁華街にならぶ「大衆酒場 ホームラン食堂」は、周囲の店が閉まった後も店を開けていた。
店先の貼り紙にこう書かれている。
《飲食業界は振り回され、追い詰められ続けています》
《一律の協力金が支払われるとされてますが、売上や店舗規模に応じた金額ではないため、固定費の大きい店舗では事業、雇用の維持は困難です》
末尾には「代表取締役・棟久裕文」と社長の実名が添えられていた。
社長の棟久裕文さん(43)は、この店を含め北九州市や福岡市で居酒屋や焼き鳥屋、焼き肉店など計16店舗を経営する。
今回の緊急事態宣言と福岡県知事からの午後8時までの営業短縮要請を受けても、7店舗は従来通り深夜・未明まで店を開け続けてきた。
その理由はシンプルだった。
「1日6万円の協力金では、とても経営が成り立たない」
この会社が抱える従業員は約400人。人件費については雇用調整助成金を充てられるが、それでも家賃などの固定費だけで毎月合計4千万円近くになる。
一方、協力金は、全店分をもらったとしても月3千万円に満たない。
従来、店の売り上げの9割がおおむね午後7時以降の客によるもので、閉店を早めれば売り上げはほぼ見込めなくなる。
「うちみたいな中小企業にしたら、毎月1千万円の赤字は死活問題です」
もちろん、営業を続ける店舗では、入店時の検温をはじめ、アルコール消毒や換気の徹底、席の間隔を空けるといった感染予防策に取り組んでいる。
改正法の国会の審議では、野党から「1日6万円では足らない」などの意見が出たが、政府はあいまいな答弁だった。
棟久さんが時短や休業に応じない理由はもう一つ。
応じた場合、従業員が辞めるリスクもあるということだ。
昨春の緊急事態宣言の時には休業要請に応じたが、仕事を求めて辞めていく従業員も少なくなかった。
宣言解除までの約1カ月で3千万円以上の赤字が出たうえ、通常営業の再開に向けた求人活動や人材育成にもコストがかかった。
棟久さんは協力金自体を批判しているわけではない。
ただ、「事業規模に関わらず一律6万円」という現在の制度に納得できないと繰り返した。
「散々批判が出ているのに、なぜそれを続けるのか。午後8時までという時間設定の根拠は何なのか。休業できるだけの十分な補償や説明もないまま、なぜ店が罰則を科されなければならないのか」
今回の改正法が13日に施行された後は、知事が時短営業の「命令」を出してそれを拒否した場合、最大で30万円の過料を科される可能性がある。
それでも棟久さんは、命令を受けない限り抗議の意味も込めて深夜営業を続けるつもりだ。
「改正法には『国や地方公共団体は、事業者に対する支援に必要な財政上の措置を講ずる』ことが盛り込まれていますが、一律6万円は、大きな店にとって『必要な措置』というには不適切です。行政が義務を果たしていないのに罰則なんて、法的にもおかしいんじゃないでしょうか」
創業して約20年。
「いろんな人が集まって、飲み食いしながら笑顔を交わす場を提供できることに喜びとやりがいを感じてきた」
いまもほぼ毎日各店舗に足を運び、営業状況を自分の目で確かめて回っている。せめて売上額の3割程度の補償があれば、時短や休業に応じても赤字は避けられるのに、と棟久さんは言う。
事務所に出勤してパソコンに向かい、政府の方針や支援策をチェックするのが日課になった。目につくのは「罰則の中身をどうするか」の議論ばかりだった気がする。
「罰則じゃなく、支援の中身をどうするかを国や自治体は真剣に考えるべきだと思います。必要なところに必要な分だけ手当てをしてほしいんです」
[via:朝日新聞デジタル]
https://news.yahoo.co.jp/articles/3849e338c8f9c1ef66e11092c02230c7df07ddcb
「改正特措法」の注意点
新型コロナウイルス対策のための関連法が、2月13日に施行されました。2月3日の成立から改正法運用に必要な政令が急ピッチで整備されました。
今回改正された特措法は、報道などでは「新型コロナウイルス対策の特別措置法」などと呼ばれていますが、正式には「新型インフルエンザ等対策特別措置法」という名前がついています。新型インフルエンザが流行した際に、感染症対策のために制定された法律なので、このような名前になっています。《中略》
改正特措法の内容として注目されるのは、対策の実効性を高めるための「命令」と、命令違反に対する「過料」の制裁が定められたことです。
改正前は、緊急事態宣言が出されているときであっても、都道府県知事が事業者に対して休業を求めたい場合、要請にとどまっていました。要請は、事業者に任意の協力を求めるものにとどまり、あくまでも「お願い」でした。
「命令」は、これに従う法的な義務が生じます。報道では、「要請→命令→過料」という一連の流れで説明されることが多く、順序はそのとおりです。ただ、要請に応じないからといって、直ちに命令が出されるわけではありません。《中略》
また、命令を出すには、
①(事業者が)要請に応じない「正当な理由」がないこと
②まん延防止、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱防止のため「特に必要があると認めるとき」にあたること
という2つの要件も必要です。《中略》
過料は前科にはならない
そして命令に従わない事業者には、30万円以下の過料を科すことができるようになりました。過料とは法律違反についてお金を支払う制裁です。
過料は、お金を支払う制裁である点で罰金と似ていますが、刑事事件で裁判所が科す罰金とは異なり、前科にはなりません。《中略》
適用は「慎重に運用」
しかしながら、国会においても、「罰則・過料の適用に当たっては、国民の自由と権利が不当に侵害されることのないよう、慎重に運用すること。
さらに、不服申立てその他救済の権利を保障すること」という附帯決議がなされています。要請に従わなかったからといって直ちに命令が出され、過料が科されるわけではありません。
法改正の意味を冷静に理解して、引き続き国民一人ひとりが感染予防、感染拡大防止に取り組むことが大切でしょう。
[via:東洋経済オンライン]
https://toyokeizai.net/articles/-/411873
ネットの反応
・これはコロナ禍へのホームラン
・飲食店は羨ましいですね。
・店を開けることで抗議になるのか?
・表向きは、特措法改正の内容に反旗を、なんでしょうが、実態は罰金払っても店開けた方が儲かるからですよね。ザル法なんですよ。
・営業するのは勝手だが・・対策は十分にやって営業して欲しい。
・時短要請に応じて、左うちわの店主がどれほど多くいるか知っていますか?補償は全て税金。
・飲食店の7割が6万円の補助金で救われるそうです。逆に黒字化する店もあるとか。
・小さな店舗を何店舗か持ってる知人が緊急事態宣言の休業手当で月に500万収入があるとのこと。店を閉めて遊んでます。本当に必要な人の所に税金を使ってほしい。
・知り合いの飲食店、仕入れが発生してないのに持続化で100万もらい、家賃給付金でうん十万もらい、飲食自粛で150とかそれ以上とか、単純に年商300万規模の飲食店は年間分稼いでる計算だ
>せめて売上額の3割程度の補償があれば、時短や休業に応じても赤字は避けられる
・つまり原価補償してくれってこと。まぁ、まだ良心的な主張かも。
・誰でも疑問に感じているのは、なぜ飲食関係だけなのか
・小規模店は6万円も貰えば普段の売り上げより大きいため、バブル状態、一律6万円なんて税金の無駄遣い、また、飲食店以外は何の保証も無い、不公平すぎる。
・テイクアウトか出前で頑張れるところ以外は自然淘汰だよ。悲しいけど
・言うに事欠いて抗議の意味でってのは恥ずかしい。経営者としてやるべきことはそうじゃないはず。
・とっとと休業せえや 閉店でもええぞ
・従業員の生活を守るため!って同情誘う商法本当に嫌い
・従業員を休業させたら個々に給付金出るのに何言ってるんだこの反社社長は
・他の業種より優遇されている。あなた方が貰っているのは国民の税金です。コロナが終わったら、大増税が待っています。
・不公平感が他業種からでてもおかしくない。
・私の業種は保証なんか何もないよ。
・飲食店のように補償が出るだけでも羨ましい。まわりが休みで独占状態、抗議っていうけど利益の方が大きいのでは。
・開き直ってると放火されるかも知れんぞ!
・被害者面すれば感染拡大に加担しまくっても良いと思ってるのか
・天国と地獄の背中合わせ 水商売ってそういうもんでしょ
・固定費がでかくてもやれるのは水商売だからこそで苦境も水商売だからこそ。
・飲食店を税で守る必要は全くない。従業員へ直接支援すべき。経営者は原因が何であれ、責任を負うべきで、それを税金で救うことは不要。
・正直、足りなければ社長が家でも売れば良いのではと思ってしまう。事業を行うとはそれくらいの覚悟やリスクがあるものだと思います。
・売り上げが違うのに一律というのはアホ
・納税額に応じて協力金は払うべき
・罰則による損失も、自粛による補助も営業損益に算入させて確定申告させてはいけないのか?何より補助をもらって儲けがあるなら納税させるべきで、返納義務を課すべきではないのか。
・飲食店の時短営業で、感染者が減ったでしょ。やはり大きな原因だった。
・こうやって営業するってことは、開ければ客が来るってことだ。店が悪いのでなく、酒飲みに行く人がいるってことだよ。
・結局は使うやつの問題さ。行かなきゃ協力金も必要ないし、コロナも落ち着くだろう。
・導入当時はスピード重視で一律手当も必要だったが、丸一年たっている。その間にある程度は事業規模などを考慮した手当が出せるシステム組めなかったのだろうか。
・議論が罰則ありきで、支援のありかたが後回しになってしまっているという不条理さは感じる。
・飲食店は勝手なことを言い、マスコミはそれを垂れ流すだけ。
・飲食業は休業や時短給付金が出るだけ恵まれてる。話題にもならず苦しんでいる業界や人が沢山います。マスコミも声の大きな飲食店だけ報じるのでなく埋もれて苦しんでいる業界も記事にするべき。