標的にされた富裕層
武装グループが襲撃したのは外国人が集まる人気のカフェだった。多くの人が出入りし、警備が緩やかな場所「ソフトターゲット」を狙ったテロが世界で相次ぐ。
バングラデシュでは去年、イタリア人と日本人が犠牲になる事件が発生し、過激派組織「イスラム国」を名乗る犯行声明が出ている。また「イスラム国」は今年のイスラム教徒の断食期間「ラマダン」中に外国人を襲撃するように呼びかけていた。
外国人が使う人気店
事件が起きた首都ダッカのグルシャン地区は、各国の大使館や外交官の住居などが集まる地域。日本人を含めた外国人が出入りする店が点在している。
現場となったレストラン飲食店「ホーリー・アーティザン・ベーカリー」は自家製パンが売り物で、昼食のサンドイッチと飲み物に数千円かかる高級店。周辺にも同じような店が散在し、現地の富裕層や外国人が利用していた。
こちらに住む日本人の間でも、1、2を争うほどの人気店だったという。治安も比較的良いとされていた地区での事件だけに、現地では衝撃が走っている。
[引用/参照/全文:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H6U_S6A700C1CR8000/]
襲撃時の様子
襲撃犯はライフルや手投げ弾などの武器を入れていたとみられるバッグを持ち、店内に押し入ると、銃を出して空中に向けて乱射。
この際、「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んだ。客たちは銃弾を避けようと、テーブルやイスの下に隠れたが、この時は、襲撃犯が客たちを銃撃することはなかった。
レストランのバングラデシュ人の従業員によると、5、6人の男たちはジーンズとTシャツ姿で、全員が「ハンサムで教養があり、このようなことをするとは全く見えなかった」という。
「外国人だけを殺す」
襲撃犯は明らかに外国人を捜し回っている様子でレストランの外にいた客も店内に押し込んだ。イタリア人、日本人ら外国人35人ほどが人質になった。
近所の人はこの際「私は日本人だ。撃たないでほしい」という声を3回聞いたという。
やがて警察官が駆け付け、襲撃犯と銃撃戦になった。襲撃犯は屋根の上などから発砲し、手投げ弾を投げた。この時の交戦で、警察官2人が死亡し、約20人が負傷した。
銃撃戦は約1時間で静まり、警察がレストランを包囲する中、襲撃犯と交渉しようとしたがうまくいかなかった。襲撃犯からの要求が全くなかったからだ。
従業員ら8人がトイレに逃げ込んでいたが、襲撃犯は「ベンガル人は殺さない。緊張しなくていい。われわれは外国人だけを殺す」と話し、ドアを開けさせた。
従業員らはトイレから出た時、レストランのフロアに6、7人の外国人とみられる遺体が横たわっているのが見えた。被害者は撃たれ、そして手刀で傷付けられていたようだった、という。
襲撃犯は外国人からアルコールの臭いがすると嫌悪感を示し、「彼らの生活スタイルは地元住民を汚染する」と述べた。
鋭い刃物で残虐
銃撃戦が鎮まった後、人質にとっては本当の恐怖が始まった。
外国人はイタリア人グループ、日本人グループなどとテーブル別に分けられた。米国人、インド人もいた。地元のメディアによると、襲撃犯は人質にコーランの一節を暗誦させ、できない者は刃物で惨殺した。
バングラデシュ軍のスポークスマンは「ほとんどの犠牲者が鋭い刃物で残虐に殺害された」と述べている。
過激派組織「イスラム国」(IS)の関連通信社がネット上に掲載した被害者の写真はこうして殺された外国人のものだったと見られる。
バングラデシュ従業員らは2日の午前1時半過ぎ、襲撃犯によって再びトイレに閉じ込められた。従業員は同1時44分、レストランの外にいるいとこに携帯からメールし、軍が救出作戦を仕切っていることを知った。
従業員は狭いトイレに閉じ込められて窒息することを恐れ、トイレの壁を破壊して救出してくれるよう訴えた。
襲撃犯は残りの人質らに、お茶とコーヒーを出すようレストランのスタッフに言いつけた。そして同午前3時半、ラマダン(断食月)の1日の始まる前の食事を出すようキッチン係に要求。
魚とシュリンプ料理を所望した。襲撃犯は生存していた人質らに対し、イスラムの実践について講釈をたれた。
一方、政府は早朝の会議で、ハシナ首相がレストランへの突入作戦を承認した。
首相はこの際、突入は軍の突撃部隊が実行するよう求め、同部隊をダッカから150マイル離れたシルヘトから連れてくるよう指示した。この頃にはレストランの前に装甲車が隊列を組んでいた。
襲撃犯らは殺害した外国人の遺体を指しながら「われわれがやったことが見えるだろう。間もなく自分たちもああなる」と従業員らに述べ、軍の突入で死ぬことを覚悟しているようだった。
午前7時半、襲撃犯らは従業員に対して「われわれは出て行く。天国で会おう」と述べ、レストランの外へ出ようとした際、突撃部隊が突入した、という。
[引用/参照/全文:http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7203]
遺体の状況は
死亡した日本人7人の遺体は、刃物による傷が多かったことが分かった。
首を切られたり、銃撃されたりした人もいた。いずれも失血死とみられる。遺体が日本に到着次第、神奈川県警などが司法解剖して詳しい死因を調べる。
現地に派遣された日本政府関係者や在ダッカの大使館員らが、遺体に残された傷の部位や形状を確認した。
[引用/参照/全文:http://www.sankei.com/world/news/160704/wor1607040035-n1.html]
バングラデシュ人の反応
事件は当然現地バングラデシュでも大きなニュースになっており、大手メディアのbdnews24は、日本人の被害者の方々の特集記事を掲載。
記事には、日本人を標的にした事に対する怒りの声や、日本や日本国民に対する謝罪の言葉が数多く寄せられていた。
・日本はバングラデシュの発展に尽力してくれた。日本人からすれば、「なぜ同胞をこんな目に」って、不思議で仕方がないと思う。日本の皆さん、本当に申し訳ありません。
・心の底からの謝罪を日本人へ。日本からの友人を守れなかったこと、どうか許してください。
・正直なところ、バングラデシュ人が被害に遭うことより悲しい。だって、彼らは僕らのゲストだったわけだから。
・これで俺たちは完全に日本人からの信用を失った。
・日本の企業はパキスタンに移行するかもね
・もしかして、日系アメリカ人を狙ったものだったとか?
・この事件に関しては、あまりにも悲しくて何も言えない。
・ヤツらはイスラム教の名前を汚してる……。俺たちバングラデシュ人はISを憎んでるよ……。「イスラム」の名前を使いやがって……。
・ただただ恥ずかしい。ああっ、日本。本当に申し訳ない。
・日本のような友人に対してなんてことを……。犯人はイスラムの名前を謳ってるだけだ。
・ 日本は世界一の科学技術を持つ国で、これまでいつだって俺たちの味方になってくれていた。一番お世話になってる国だっていうのになぜ彼らが標的にされたんだ。
・日本の皆さん、私たちは本当に申し訳なく思っています!!
・日本はその技術力を使って 「ibomb」を作るべきだ。危機が迫った時、敵をいつでもどこからでも攻撃できるように。
・どうしてイタリア人と日本人を狙ったの?イタリア人は衣料・服飾の面で私たちを助けてくれたし、日本人はこの国のインフラを整備してくれた。どうして私たちを助けてくれていた友人を狙ったの? どうして?
・日本はバングラデシュにとって一番の友人なのにな……。
・なぜ日本人を狙ったんだ!日本はこれまでに、どれだけ俺たちを助けてくれたことか……。本当に恥ずかしさでいっぱいだよ。
・日本人は人を傷つけるようなことは絶対にしない人たちなんだぞ……。世界一発展した国なんだよ……。
・恥。そんな言葉じゃ足りない。この悲劇に対して、何て口にしたらいいのか俺には分からない。
・バングラデシュの発展は、すべて日本のおかげだ。それなのにこんなことが起きてしまったなんて残念でならない。
・僕たちの生活に進歩を与えてくれた日本。国民をこんな悲惨な事件に巻き込んでしまってごめんなさい。恥ずかしくて仕方がありません。ごめんなさい。
・バングラデシュの発展に尽力してくれた人たちなのに!自分の母国ながら、この国はひどすぎる!!
・最大のパートナーの国の国民をこんな目に遭わせたんだから、バングラデシュはもう終わりだよ。地下鉄の建設とか、大きなプロジェクトも控えてたんだ。
・すべてのバングラデシュ人が、申し訳なく思っています。今バングラデシュは、国全体が喪に服しているんです。
・俺はどんな時も日本の味方だ。バングラデシュに、いつだって手を差し伸べてくれた国だから……。
・犯人たちはイスラム教を理解しているつもりのようだが、コーランは、命を奪うことは誤りだと説いている。イスラム教徒なら誰でも知っていることだ。
・日本人より素敵な人たちはいない!他人に対して敬意を払ってくれるし、何よりバングラデシュにとって一番頼りになる友人だ!申し訳ない。本当に申し訳ない。
・あまりにも愚かだ。日本はこれからも友人でいてくれるのだろうか……?
・日本の友人たちを守れなかったことは、俺たちの恥だ。とにかく申し訳ない気持ちでいっぱいです。
・俺たちを嵌めるためにインドが仕組んだに違いない。
・バングラデシュの発展を望まない人間の犯行であることは確かだと思う。だから日本人をターゲットにしたテロを起こしたんだよ。
・世界一平和な国に住んでる人達が何でこんな目に……。
・すべての日本人にお願いです。どうか僕たちを許してください。僕たちにも何がどうなっているのかまったく分からないんです。日本は、世界の模範となる偉大な国だと思っています。
・日本は、発展と平和を継続させるために必要なパートナー。今はとにかく謝ることしかできません。
・無辜の民の命を奪う人間は、本物のムスリムではない。イスラム教徒にとってはむしろ、敵である。
・自分は今までに何カ国も旅したことがあるけど、日本人ほど民度が高く、謙虚で、親切な国民はいなかった。国としても、日本はバングラデシュの発展に一番貢献してくれている。それなのにまさか、恩を仇で返すことになるとはね。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
[引用/参照/全文:http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-1987.html]