とある有名な湖での話。
由美子は泣いていた。
薄暗い湖面の上で、歓迎されるべくもなく生まれてきた赤子をそっと葬りながら…
「ドッボン…」
由美子は泣き続けていた。
忌まわしい記憶も薄れゆく程に、数年が過ぎた。
由美子も今では、結婚し一児の母となっていた。充実した日々が流れていた。
ある時、家族で旅行へ行くことになった。夫の強い主張で、行き先は湖となった。あの湖である。
由美子は一瞬ためらったが、乗り気の夫を見ていると拒否することが出来なかった。
当日は、素晴らしい天気だった。穏やかな陽気。楽しそうに水辺やボート遊びをする人達。
娘の朝美がどうしてもとせがむので、一家はボートで湖へと繰り出すことになった。
オールの起てる水しぶきに、ハシャぐ朝美。朝美はご機嫌だった。
由美子はオールの起てる水の波紋を見ていると、段々と憂鬱な気分になってきた。
食い入るように波紋を見つめる由美子。
不意に朝美が
「ママ、オシッコ、オシッコ」
岸に戻るには、かなりの時間を要する場所だった。
仕方なく、ボートを停め、オシッコをさせることにした。
パンツを下ろして、朝美を担ぎ上げる由美子。
朝美を湖面に差し出した時、突然、朝美が振り返って言った。
「ママ、今度は落とさないでね」
こわいなw
その時ちょっとイラっときた…
「小便しながら偉そうなガキ」
…完