新宿・歌舞伎町での「ぼったくり」被害が依然としてなくならない。実際に店舗を訪れた朝日新聞や週刊ポストの記者も、入店前には「支払うものか」と心に決めながら、結局10万円以上を支払わされた。
警視庁は対策を強化しているが、店側は「60分4000円ポッキリ」などと言葉巧みに客から金を巻き上げている。
朝日新聞記者のルポ記事は2015年7月4日に掲載された。
記事によると28歳記者は平日20時過ぎ、客引きの男に「キャバクラ60分4000円です」と声をかけられて、とある雑居ビルの7階にあるキャバクラに入った。
その時は「ぼったくりか?法外な請求をされても支払うものか」と心に決めてついていったそうだ。
店内では最初に女性1人、30分後に別の女性がついた。記者は飲み放題だという焼酎を飲み、女性はそれぞれワイン3杯ずつを飲んだ。
すると会計は18万8500円。チャージ代(席代)が1人9万円、ワイン1杯6000円で計3万6000円、これに税金などが45%かかるのだという。
入店前の「60分4000円」については、「誰だかわからないですけど言っていましたね。お連れ様だとおもったのですが」などとシラを切られたという。
支払いを拒むと別室に連れていかれ、料金は壁に貼ってあるだとか、「4000円から」としか紹介してないだのと説明される。1時間近く言い争ったが店側は譲らず、結局記者が折れた。手持ちがないとATMまで付いてきたという。
この記事を受け、今度は週刊ポスト記者が、別のぼったくりキャバクラに体当たりルポを敢行。「同じ轍は踏むまい」と意気込んだが、同誌(15年7月31日号)によると、結局この記者も10万円以上を支払わされた。
この店も客引きの触れこみは「60分4000円」と同じだ。しかし明細には入会金10万円に各種チャージ料が48%も乗っかり、合計は15万円以上。記者は「これは詐欺だ」と訴えると、店長は、
「お前が払わなければ親族に払ってもらう。実家まで取り立てるぞ、ゴルァ!」
とまくし立てる。入店から2時間後、何とかチャージ料だけ値引きしてもらい、11万円を支払ってようやく解放されたという。
2人の記者は、入店前からぼったくりには「決して応じない」と覚悟を決めていたことは共通している。しかし、別室に連れていかれコワモテの男性スタッフに帰らせてもらえず、根負けする形で支払ってしまった。
実際に歌舞伎町でのぼったくり被害は急増している。新宿署のまとめでは、ぼったくりをめぐる警察への相談件数は、14年1年間で673件だったが、15年1~4月の4か月だけで1052件に上る。毎月、増加する一方で4月だけで341件もあった。
警視庁は摘発を強化している。しかし3月には1時間5000円と言いながら約3時間で男性客2人に110万円を請求したり、6月にも50分5000円で勧誘しておいて1時間後に約20万円を支払わせたりする「事件」が相次いでいる。
こうした事態に対し、東京弁護士会は15年6月に相談窓口「ぼったくり被害110番」を立ち上げた。
トラブルがあった際、歌舞伎町交番周辺で待機する弁護士を呼ぶことができる仕組みだ。サイトではぼったくり被害にあわないために「客引きは違法!ついていかない、信じない!」「入店時に料金を必ず確認する!」と呼びかけている。
[引用/参照:http://www.j-cast.com/2015/07/22240853.html]
その巧みな手口とは?
記者が入店したのは、「60分4000円」というお決まりのフレーズで誘う客引きに案内された雑居ビルの6階にある『G』という店。席に着くと、女性を品定めしたい衝動を抑えて以下の項目をチェックした。
・女性のドリンクの値段
1杯5000円以上ならセット料金に含まれるハウスボトルを飲んでもらう。
・テーブルチャージ
別途かかるなら店を出る。
・メニュー表
都が定めたぼったくり防止条例によれば、料金は客が見える場所に提示しなければならない。メニュー表の値段設定をくまなくチェックしたが、とくに不審な点はなかった。あとはホステスたちの「ドリンクおねだり」をどう拒むかだ。
記者の隣に座った24歳の女性に白ワインを飲みたいといわれたが断わり、ハウスボトルの焼酎を飲むよう促すと、明らかに怪訝そうな表情を見せた。
次に着いた女性にも同様に振る舞うと、「酔うとエッチしたくなる」「飲ませてくれたら、アフター(営業終了後に客と飲食などに付き合うこと)に行くよ」と男心をくすぐってきた。
それでも断わり続けると、女性はほとんど口を開かなくなり、居心地が悪くなってきた。全く楽しめなかったので、30分が過ぎた頃、会計をお願いした。すると──。
店長を名乗る男性が持ってきたのは、何と15万円超の会計伝票だった。明細には〈入会金10万円〉とある。もちろん「聞いてないぞ!」と抵抗したが、店長は「入店時に伝えている。録音もある」という。
彼がポケットから取り出したICレコーダーには、記者が入店し店員に案内される音声の中に、「入会金はお一人10万円になります」という店員の声が確かに入っていた。
まったく聞き覚えがないので、記者に聞こえないようにICレコーダーに吹き込んだのだろう。
「条例では事前に料金を提示しなければならない」と指摘すると、「お客様の目の前にあるじゃないですか」とメニュー表を指さした。
黒革の厚いそのメニュー表は強力な磁石で貼りつけられた二枚式で、開くと入会金と、消費税を含めると48%(!)にもなる各種チャージ料が書かれていた。
だが、払うわけにはいかない。「これは詐欺だ」と記者が主張すると、奥のバックヤードに来るよう促された。店長は態度を変え、記者の携帯電話を奪い、免許証の住所をメモすると、こうまくし立てたのである。
「お前が払わなければ親族に払ってもらう。実家まで取り立てるぞ、ゴルァ!」
もう限界だった。入店から2時間が経過した頃、「本当にカネがない」と懇願すると、チャージ料だけ値引きしてくれた。結局11万円ほどを支払って解放された。
店を出る頃、店内に客は一人もいなかった。
[引用/参照:週刊ポスト2015年7月31日号]
http://www.news-postseven.com/archives/20150723_336815.html
・歌舞伎町「ぼったくり被害110番」(略称BR)
tel:03-6205-6777
6月から警察の対応が見直されまして、悪質なぼったくり事案は、警察がたすけてくれます。ですので、現状、まずは110番。警察に電話をかけてください。
全世界争い事がなく平和でありますように
エーメン。