あるアパートに1人の女性が引っ越してきた。
その女性は、父親が誰かわからない赤ちゃんを連れていた。
家事と育児に追われる日々を送るうちに、女性は
徐々に子供を疎ましく思いつつあった。
女性が引っ越してから半年がたち、
家賃の支払いが遅れていたことに文句を言おうと、
大家さんが女性の部屋を訪ねた。
合鍵を使って部屋に入ると、すでに室内はもぬけの殻だった。
埃まみれの部屋の隅に、黒い大き目の人形がポツンと置かれていた。
大家さんがそれを手に取ろうとしたその瞬間、
人形の色が黒から白にすごい速さで変わってしまった。
しばし呆然とした大家さんだったが、人形をもう一度よくみると
謎が解けた。
人形に見えたのは、赤ちゃんの死体であり、
黒く見えたのはおびただしい数のゴキブリが、
死体に群がっていたからであった。